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水循環の明るい水来(みらい)へ「砂漠と水−タクラマカン砂漠−(後編)」

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3.タクラマカン砂漠横断ハイウェイ

図3は、赤線でタクラマカン砂漠を横断するハイウェイの位置を示す図です。
現在、3路線と1支線が完成しています。
1本目は輪台(ブグル)-民豊(ニヤ)を結ぶ輪民公路565.66km、1995年開通、
2本目は塔且公路(とうしょこうろ、自治区道路S233)で輪民公路の途中にある
塔中とその南東方向へチャルチャン(且末)を結ぶ支線。
全長156キロメートルの道路であり、2002年に開通。
3本目は北のアクス(阿克蘇)と南のホータン(和田)をホータン川に沿って結ぶ
幹線道路。全長424.77キロメートルの道路で、2007年に開通。
4本目は新疆維吾爾(ウイグル)自治区の尉犁(ロプノール)県と且末(チャルチャン)
県を結ぶ尉且砂漠道路で2022年6月30日、正式に開通しました。
この2017年10月着工の砂漠道路の工期は5年近くで、全長は334キロメートル。
塔里木(タリム)砂漠道路と阿和道路に続く3本目のタクラマカン砂漠を横断する
幹線道路です。
これにより、中国は「死の海」と呼ばれるタクラマカン砂漠で計1200キロメートル
以上の砂漠道路を建設したことになります。

図3タクラマカン砂漠横断ハイウェイ(赤線表示)
図3 タクラマカン砂漠横断ハイウェイ(赤線表示)

写真4は、輪台(ブグル)-民豊(ニヤ)を結ぶ輪民公路を撮影したものです。
東京―大阪間に匹敵する距離を何の変哲もない砂漠の荒涼とした風景が延々と続きます。
タクラマカン砂漠は流動性の砂漠のため、道路の両側には砂流動防止工が施され、
道路が砂で埋まるのを防いでいます。

写真4タクラマカン砂漠横断道路(2002.6.22撮影)
写真4 タクラマカン砂漠横断道路(2002.6.22撮影)

4.砂漠における地下水の調達、カレーズ

砂漠地帯が広がる中央アジア、西アジア、北アフリカでは、降雨だけでは農業を
営むのが難しいです。山地の帯水層の水や山麓に湧きだす水を、地下水路で
平地まで引っぱってきて、その水を利用して農業をしています。
地下水路を利用することで蒸発を防ぐこともできます。
この地下水路のことを、カレーズ、カナート、フォガラなど地域により異なった
呼び方をしています。
新疆ウィグル地区では、カレーズと呼んでいます。
図4にカレーズの仕組みを示します。

図4 カレーズの構造
図4 カレーズの構造

新疆ウィグル地区のトルファン(吐魯番)では昔から天山山脈の雪どけ水を山麓から
地下水路で引き込み農業用水として利用することにより、
シルクロードのオアシス都市として栄えてきました。
図4に示すように、地下水路は適当なピッチで竪坑を掘り水平方向にトンネルを掘り、
竪坑ごとに繋いでゆくものです。
雪どけのきれいな水を、地下を流すことにより冷たい状態で取り出すことが可能です。
トルファンでは、この水を使って、葡萄の栽培が盛んです。

写真5 カレーズ内の暗渠(トルファンにて)
写真5 カレーズ内の暗渠(トルファンにて)

写真6 カレーズの出口付近(トルファンにて)
写真6 カレーズの出口付近(トルファンにて)

忌部氏写真