水循環の明るい水来(みらい)へ「海老川流域の水循環健全化への取り組み」
1.概要
海老川は、千葉県船橋市北部丘陵地域に源を発し、
南に南下しながら飯山満川(はさまがわ)、前原川、長津川等を合流して、
船橋市の中心を流れ東京湾へそそぐ流域面積27.12km2の二級河川です(図1参照)。
近年、海老川流域では都市化が進んだことにより、自然地がビルや家屋の屋根に覆われ、
道路が数多く舗装され、降った雨が地中に浸み込む割合が減少するようになりました。
その結果、洪水が今まで以上に発生したり、湧水が少なくなったり、川の水質が悪くなるなど、
水循環系が大きく変化したことにより様々な問題が発生し始めました。
そのような状況の中、平成7年度より建設省(現国土交通省)が「都市の水循環再生のための
構想策定マニュアル」の策定に着手し、重点的に施策を展開するモデル流域として海老川を
含めて全国6流域を指定し、マニュアル策定と同時並行で、各流域の水循環再生構想の策定を
行いました。全国6流域とは、海老川(千葉県)、東川(埼玉県)、神田川(東京都)、
和泉川(神奈川県)、平戸永谷川(神奈川県)、菩提川(奈良県)の6河川です。
海老川については、千葉県、船橋市、鎌ケ谷市が平成8年3月に学識経験者、行政、市民団体から
なる「海老川流域水循環再生構想検討協議会」を設置し、海老川流域の水循環系に関わる課題や
水循環系再生のための基本的な施策について検討し、「海老川流域水循環再生構想(平成10年3月)」
を策定しました。
本コラムは、「海老川流域水循環再生構想(平成10年3月)」に端を発した取り組みの概要と
現状について、報告するものです。
引用元:千葉県ホームページみんなでとり戻そう私たちの海老川
https://www.pref.chiba.lg.jp/cs-katsunan/documents/kousou-r2-1.pdf
図1 海老川流域図
2.水循環再生行動計画の策定(第二次~第四次)
前述の再生構想に示された海老川流域の健全な水循環系再生に関わる諸施策を具体的かつ
確実に実行していくために、平成10年10月に学識経験者、行政(県・市)、市民団体からなる
「海老川流域水循環再生推進協議会」(構成メンバー、表1参照)を設置し、行政、市民、企業
との連携を強化し、三者のパートナーシップに基づいて、それぞれの役割を明確にし、
より実効性のある計画とするために「海老川流域水循環系再生行動計画(平成11年12月)」を
とりまとめています。
その後も「第二次行動計画(平成18年3月)」、「第三次行動計画(平成23年3月)」に基づき
各種施策を行い、平成31年には、再生構想の中期目標年を迎えたことから、再生構想及び
各行動計画に基づく各施策の評価・総括を行っています。
これまでの行動計画の各種施策の結果、水質環境基準が中期目標であるBOD5.0mg/Lを概ね
達成し、河川内の生物の個体数の増加や新たな種の発見等、水循環に再生に一定の成果が
得られていますが、一方で平常時の河川流量や流域浸透量については減少傾向があるなどの
課題もあります。
表1 海老川流域水循環再生推進協議会構成メンバー(平成18年3月時点)
引用元:環境省海老川流域水循環系再生 第二次行動計画
https://www.env.go.jp/water/junkan/case/pdf/1-2-07.pdf
さらに、再生構想の中間年の区切りを迎え、社会情勢の変化や気候変動などの新たな課題も
踏まえた計画とするために、令和2年11月に「海老川流域水循環再生構想(改訂版)」を策定し、
令和2年度から令和6年度の5年間における実行性ある行動をとるための計画として、
「海老川流域水循環系再生第四次行動計画(令和3年3月)」をとりまとめています。
3.現在の目標について
海老川流域水循環再生構想(改訂版)の計画期間は令和2年から令和11年までの10年間と
しています。第四次行動計画では、表2に示す目標を掲げて、目標達成に向けて施策の推進を
行うこととしています。
表2 海老川流域水循環系再生の目標(令和2年度~令和11年度)
引用元:船橋市ホームページ
https://www.city.funabashi.lg.jp/machi/douro/005/p002708.html