水循環の明るい水来(みらい)へ「都市の水管理の変遷」
都市の水管理の変遷
下の図1は都市の水管理形態の変遷を示す図です。
図下段に示すように2008年、英国スコットランドのエジンバラで開催された第11回国際都市雨水排除会議で、
オーストラリアのレベッカ・ブラウンらが発表した論文に記載された図を日本語訳して引用したものです。
横軸は時間軸を表し、左から右に向かって進化の変遷を表しています。
一番左の最初の出発点は「上水道が整備されたまち」となっています。
わが国でも江戸時代に多摩川上流の羽村から延長約43kmの水路を開削し、
江戸のまちに水を引いた玉川上水が有名な話です。
上水道がある程度整備されると使って汚れた水を処理することが必要になります。
すなわち「下水道が整備されたまち」の出現です。
その後、洪水防御の必要性が生じ、「洪水・浸水のないまち」へと発展します。
都市化の進展に伴い、水質汚濁、生態系の悪化が指摘されるようになり、
「水環境の豊かなまち」が望まれるようになります。
更に、限りある水資源を大切にする「健全な水循環のまち」が必要とされるようになりました。
この図は、オーストラリアの人が作成したので、更に進化した形態として、
「水に敏感なまち(Water Sensitive City)」が示されています。
これはオーストラリア独自の表現で、米国で打ち出された環境負荷を最小限に抑えるまちづくり
(LID : Low Impact Development)の考え方と同じような内容と言われています。
[上図]図1 都市の水管理形態の変遷
各国の総合的な水管理の取り組み状況を表1に示します。キャッチフレーズの違いはありますが、
健全な水循環系の構築を目指して、治水、利水、環境をバランス良く整備するために、水量、水質、アメニティの向上に努めています。
雨水貯留浸透、グリーンインフラ、雨水利用などを取り入れて、持続可能な開発目標(SDGs)に合わせた取り組みを行っています。
表1 各国の総合的な水管理の取り組み状況