水循環の明るい水来(みらい)へ「千葉県印旛沼流域の水循環健全化への取り組み」
1.はじめに
平成27年(2015年)4月2日に水循環基本法が公布されて以来、
国は健全な水循環の維持・回復に取り組んできた各地域の途中段階の17の計画を、
平成29年1月16日付で流域全体の水循環計画の第一歩として公式に発表しました。
その計画の中に、今回お話しする「印旛沼流域水循環健全化計画・第1期行動計画」の
取り組みが含まれておりました。
この時点で、健全化会議及び健全化計画・第2期行動計画を水循環基本計画に基づく
流域水循環協議会及び流域水循環計画として位置づけることになりました。
その後、国から承認された今後の取り組み計画は、令和2年1月時点で合計47に及びます。
2.流域の概要
印旛沼は図1に示すように、千葉県の成田空港近くに位置し、利根川下流南岸の
利根川水系の湖沼です。
北印旛沼と西印旛沼に分かれていて、2つの沼は捷水路で結ばれています。
印旛沼流域は、下総台地と呼ばれる浸透性の高い火山灰(関東ローム)に覆われた
台地と台地を枝状に侵食した谷津と呼ばれる谷から成り立っています。
Google マップより
図1 印旛沼流域位置図写真1 印旛沼
3.水循環上の課題
流域の水循環上の課題としては、以下の課題が挙げられます。
① 急速な経済成長に伴い、市街化面積が増大している。
② その結果、地中への雨水の浸透量が減り、貴重な水資源である湧水量の減少を招いている。
③ 加えて、雨が汚染物質を運び、川や湿地に堆積して、水質汚濁の原因になっている。
④ このような状況の変化に伴い、頻繁に起こる洪水、水質の悪化、生態系の変化が深刻な課題となっている。
⑤ それは地域独特の原風景が失われ、人々と水の関係が希薄になることにも繋がっている。
4.計画策定のための組織体制
水循環健全化計画を策定するために、産官学の各専門家、各担当が連携して、
図2に示すような組織体制を構築している。
全体を束ねる委員会の下に、行政部会、各種ワーキンググループ、検討委員会などが
設けられており、お互いに連携を図りながら、健全化計画及び行動計画を策定している。
図2 組織体制
*千葉県ホームページ掲載資料より引用
5.計画策定の流れと今後のスケジュール
健全化計画の計画期間は、2009(平成21)年度から2030(令和12)年度までとなっています。
行動計画は、健全化計画の計画期間を約5年ごとに区切り、各期で策定します。
現在進行中の第3期行動計画は、2021(令和3)年度から2026(令和8)年度の5年間を
計画期間としています。
図3 計画策定の流れと今後のスケジュール
*千葉県ホームページ掲載資料より引用
6.第2期行動計画における目標達成状況
2020年に第2期行動計画が終了した時点で、目標達成状況を取りまとめたものが表1です。
設定された5つの目標について達成状況を取りまとめています(表2)。
表1 5つの目標の達成状況
(第2期の期間:2016(平成28)年~2020(令和2)年度)
*千葉県ホームページ掲載資料より引用
表2 評価指標の達成状況
*千葉県ホームページ掲載資料より引用