雨水に関する情報やリプロンの裏側をご紹介

国土交通省の浸透阻害行為許可申請とは—雨水の浸透対策とその重要性(後編)

その他

3.雨水浸透のための具体的な対策

雨水の浸透を促進するためには、さまざまな対策があります。
以下は、その代表的な方法です。

3-1. 透水性舗装

透水性舗装は、雨水を地面に浸透させるための舗装材です。
通常のアスファルトやコンクリートの舗装は水を通さないため、雨水は表面を流れるだけで地下に浸透しません。
しかし、透水性舗装は、雨水が舗装面を通過して地下に浸透することを可能にします。このような舗装は、
駐車場や歩道、道路などに導入されることがあります。
透水性舗装には、コンクリートやアスファルトの代わりに、空隙が多い素材(例えば、多孔質コンクリートや透水性アスファルト)を
使用します。これにより、降った雨水が地面に浸透し、地中に蓄えられるため、浸水害のリスクを軽減することができます。
また、これらは蒸発散の促進効果があり、ヒートアイランド現象の抑制や地球温暖化防止にも貢献します。

3-2. 雨水貯留浸透槽

雨水貯留浸透槽の貯留タイプは、雨水を一時的に貯めるための設備です。
大雨が降ると排水システムの処理能力の不足から、洪水が発生することがありますが、雨水貯留槽を設置することで、
雨水を一時的に蓄えておくことができます。これにより、河川や下水道の負荷を減らし、洪水を防ぐことができます。
また、貯めた雨水は灌漑や散水、トイレの水洗、清掃などに再利用することもできるため、資源の有効活用にもつながります。
浸透タイプは、雨水を地下浸透するための施設になります。貯留タイプよりも、浸透処理量分貯留容量を減らすことが可能であり、
シートも透水シートしか使用しないため、設置可能な条件が揃っていれば浸透タイプが選ばれています。
このように雨水貯留浸透槽の設置には、土地や建物の特性に応じた設計が求められます。
また、現在ではリサイクル材を原料とした再生プラスチック製品が多く使われています。

3-3. 自然浸透型施設

都市部では、緑地を増やすことも雨水浸透対策の一環として重要です。
公園や庭園、レインガーデンや雨庭などの緑地は、雨水が地下に浸透するための自然の浸透施設となります。
樹木や草花が根を張り、土壌が雨水を吸収することで、地下水の涵養を助けるとともに、都市のヒートアイランド現象の
緩和にも寄与し、緑が増えることで都市部に暮らす人々のウェルビーイングにもつながります。

3-4. 雨水浸透トレンチ

雨水浸透トレンチは、地下に設ける浅い溝で、雨水を地下に浸透させるための施設です。
横型トレンチでは透水シートを敷き、単粒度砕石や再生材を敷設し、その中に有孔管や網状管を配管します。
この構造により、雨水は速やかに地中に浸透します。また、穴あきパイプを掘削孔内に鉛直に設置する縦型トレンチは特に、
狭いスペースに設置でき透水シートや単粒度砕石も不要なため、宅地内や店舗敷地内での利用が進み始めています。

4. 国土交通省の許可申請手続き

山林や田畑をあらたに利用する雨水浸透阻害行為を行うためには、国土交通省の許可を得る必要があります。
その申請手続きには、以下のステップがあります。

4-1. 計画書の作成

設置予定の雨水貯留浸透対策に関する計画書を作成します。
この計画書には、貯留浸透施設の設置場所や空隙貯留量、浸透方法とその浸透処理量などを計算して記載します。

4-2. 許可申請書の提出

計画書を元に、国土交通省や窓口の都道府県に許可申請書を提出します。
この際、エクセル計算ソフトによる詳細な資料を提出することが求められます。

4-3. 審査と承認

提出された計画書と申請書は、国土交通省や都道府県の担当部署によって審査されます。
審査の結果、適切な対策が講じられていると判断されれば、許可が下り、工事を進めることができます。

まとめ

浸透阻害行為許可申請における雨水貯留浸透対策は、特定都市河川流域の市街地における水害防止や地下水涵養に不可欠な施策です。
国土交通省の許可申請制度は、これらの対策を適切に実施するための重要な手続きとなります。透水性舗装や雨水貯留浸透槽、
自然浸透型施設などの対策を通じて、市街地における雨水の浸透や水循環を促進し、環境負荷を軽減することができます。
今後も、より効率的で持続可能な雨水管理の方法を導入し、都市の水害リスクを最小限に抑えることが求められています。