国土交通省の浸透阻害行為許可申請とは—雨水の浸透対策とその重要性(前編)
国土交通省の浸透阻害行為許可申請とは
近年、都市化が進む中で、雨水の流出抑制はますます重要な課題となっています。
特に市街地では舗装された道路や建物が多いため、降った雨水が地面に吸収されず、
すぐに排水システムに流れ込むことがよくあります。
そのため雨水の流出が急激になり、洪水や土砂災害などのリスクを引き起こす原因となります。
このような問題を解決するためには、雨水の浸透を促進し、効果的にコントロールすることが重要です。
雨水の浸透とは、降った雨水を地下に浸透させ、自然の水循環を復元するプロセスです。
これにより、洪水のリスクを減らし、地下水の涵養を促進することができます。また、緑地や農地を建物や
舗装道路に置き換える開発行為は、本来雨水が浸透していた土地を不浸透化するという
「雨水の浸透を阻害する行為」とみなされ、国土交通省の浸透阻害行為許可申請が必要となる場合があります。
この記事では、雨水浸透の重要性と、それに関連する国土交通省の許可申請について詳しく解説します。
1. 雨水の浸透とは何か?
雨水の浸透とは、降った雨水が地面に浸透し、地下水となるプロセスです。
自然環境では、森林や草地などの柔らかい地面に降った雨水は、地面に浸透して地下水となり、
河川や湖沼に流れ出ることなく地下で水が蓄えられます。
しかし、都市化が進むと、舗装された道路や建物が増え、雨水は地下に浸透することなく排水管を通じて川や海へ
流れ出てしまいます。
これが市街地における浸水害の原因となります。そのため、雨水の浸透を促進することが重要です。
具体的には、透水性のある舗装を使用したり、地下に雨水を貯留する施設(雨水地下貯留槽)を設けたりすることが
考えられます。また、自然浸透を促すために、公園や広場などの緑地や雨庭(あめにわ)などのグリーンインフラも
重要な対策となります。
2. 国土交通省の役割と許可申請
雨水流出抑制に関する施策は、一般的には地方自治体や事業者が行うことが多いですが、
その一部では国土交通省の許可が必要となる場合があります。
中でも、特定都市河川浸水被害対策法が適用される特定都市河川に指定された河川の流域では、
土地開発や建築工事を行う際に、雨水の浸透対策を含む流出抑制施設の設置が求められ、国土交通省に浸透阻害行為の
許可申請が必要となります。
国土交通省は、建築計画や土地利用、排水システムなどに関する基準やガイドラインを制定しています。
これらの基準に基づいて、事業者が雨水の浸透阻害行為を行う場合には、許可申請を提出し、許可を得ることが求められます。
許可申請を通じて、雨水の流出抑制や地下浸透が適切に行われることを確認し、浸水害などによる周辺環境への影響を最小限に
抑えることが目的です。
許可申請を行う際には、具体的な計画書を提出する必要があります。
計画書には、雨水の貯留浸透方法や設置予定の施設の詳細、周辺環境への影響評価などが含まれます。
これにより、許可を得る前に専門的な審査が行われ、適切な対策が講じられることが確認されます。
次回更新の後編では雨水浸透のための具体的な対策や国土交通省の許可申請手続きについて解説致します。