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水循環の明るい水来(みらい)へ「カリフォルニアの水事情」

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カリフォルニアの⽔事情

アメリカ合衆国カルフォルニア州は、特徴ある水事情を抱えています。
すなわち、北のシェラネバダ山脈からの豊富な雪解け水に恵まれているにもかかわらず、
南部は降水量も少なく、常に水不足に悩まされています。

近年、カリフォルニアはしばしば干ばつにみまわれていて、
気候変動によって気温が約2度上がり、そのことが土壌を乾燥させ、
シェラネバダ山脈の雪渓を減少させており、地中に吸収される水や、
川や貯水池へと流れこむ水量が少なくなっていることが原因として挙げられます。

図1にカリフォルニアの地形風土を示します。
州全体の面積は 25.6万K㎡で日本の本州がすっぽり入る大きさです。

カリフォルニアの地形風土

州の中央に周囲を山に囲まれた巨大な縦細の堆積盆地が存在します。
南北650km、東西 80km、北から流れるサクラメント川、南から流れるサンウォーキン川が
サンフランシスコ近郊で合流して、デルタ地域を経てサンフランシスコで太平洋に注ぎます。
盆地北端の山岳地帯の年間降水量が 1500 ㎜に対し、盆地南端のロサンゼルス近郊では
150mmと極端な違いがあり、北からかなりの水量が南に運ばれています。
図2に中央盆地の水のネットワーク図を示します。

中央の堆積盆地内の水のネットワーク

図2に示すように、北からのサクラメント川と南からのサンウォーキン川に様々なダム、
貯水湖が縦横に繋がれて、水のネットワークを形成しています。
この図は、筆者が24年前の2000年7月に現地調査を行った時に作成したもので、
その後進化しているとは思いますが、大筋の基本部分は変わらないと思われます。
ダムは、北のシャスタダムから南のフライアントダムまで8つのダムがあり、
貯水湖はサンルイスなど4つを数えます。
もう1つの特筆すべき特徴としては、州北部の、州都サクラメント
(サンフランシスコではなく、あまり知られていないサクラメントが州都になります。)の
南に広がるデルタ地帯が挙げられます。
このデルタの水は最終的にサンフランシスコ湾に出ますが。
多様な動植物の生息地になっており、自然保護区となっています。

2000年当時、日本では新しいダムの建設適地を見つけるのが難しくなってきて、
また自然保護の観点からもダム不要論が言われておりました。
一方米国では、2001年(平成13)年8月の米国ダム協会年次講演会で、内務省開拓局長は、
「「ダムは造らないのか?」と質問されれば、私は「造る」と答える。」と講演しています。
実は、筆者はアメリカでもダム不要論が大勢を占めていると思っていたのですが、
ちょっと状況は違っていました。
図2のデルタの端にバンクスポンプ場があり、ここから赤線で示すカリフォルニア導水路が
ロサンゼルスまで敷設されています。
カリフォルニア導水路の全長はおおよそ800キロで、日本にあてはめれば、
琵琶湖の水を青森で使うようなものです。しかも途中1千メートルの山越えをします。

図3はバンクスポンプ場の手前にあるスキナー魚類保護施設の配置図を示します。
スキナー魚類捕獲施設は1790年に建設され、なまず、サケ、スメルトなどを捕獲して、
輸送車に乗せて川へ戻しています。自然保護とは言え、大変な労力とお金がかかっています。
後方3kmにカリフォルニア導水路の起点、ハーベイ・オ・バンクスポンプ場があり、
ポンプアップの前に魚類保護をする必要がある訳です。

写真1はハーベイ・オ・バンクスポンプ場より取水路を望む景色です。
遠方の湖はクリフトンコート予備湖、その手前にスキナー魚類保護施設があります。
また写真2は、ポンプアップされた水が勢いよく流れる様子で、
カリフォルニア導水路の出発点にあたります。

スキナー魚類保護施設の配置図
番号1:大きい魚と浮いたゴミを分別
番号2:小さい魚がV型に配置されたよろい窓により取り入れ水路からバイパス管路に取り込まれる
番号3:魚はバイパス水路から二次スクリーンへ入り余分な水を除去される
番号4:直径20フィートのコンクリート製タンク内を連続的に循環する間に捕獲される
図3 スキナー魚類保護施設の配置図

図3 1985年から2017年の33年間の年間雨水使用量の推移

図3 1985年から2017年の33年間の年間雨水使用量の推移

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忌部氏写真